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テリアに比べてはるかに機械的に壊れやすく、また含水量が99%を超えていることが、遠心機を用いた沈降実験から推定された。このように大きさが4−5桁違う海水中の懸濁粒子が似たような特性を持つことは、それぞれが類似したプロセスで半成されてくる可能性を示唆するものであり大変に興味深い。これらのサブミクロンサイズの有機粒子も、マリンスノーと同様にもっと小さな有機物がゆるく固まって出来ているかもしれないからである。電子顕微鏡による観察結果もこの推測と一致しており、色々な大きさの不定形の有機物が糸のような細い有機物で繋がりあっている様子が見える。このことは大きさが0.1ミクロン以下のさらに微細な有機物についても当てはまることがアメリカで報告されている。すなわち電子顕微鏡で観察すると、これら非常に小さい有機物のかたまりも大きさが数ナノメーター位の微粒手が集まって出来ているように見えるのである。
このような様々な生物の死骸や有機物が集まって出来た有機物粒子の生化学的な特性を調べるのは、大きさが1ミクロン以下の粒子になると難しいが、その理由の1つはすでに述べたこれらの粒子の壊れやすさである。ある特定の大きさの有機物粒手の化学分析を行うための一般的な方法は、その粒子だけをたくさん集めそれを色々な分析機器で調べて見ることである。現在では1トン近くの海水から、1ミクロン以下の特定の大きさの有機物を分離農弄宿する手法も開発されているが、この細かい孔を持ったフィルターの上を圧力をかけて海水を流すという分離濃縮の過程で、壊れやすいものは海水の中での形を保っているとは考えにくい。従って顕微鏡や物理的な検出手法で見いだされている微細な有機物粒子とこれらの大量海水の濃縮分離による化学組成とが、どの程度対応しているのかはっきりしない点が多いのが現状である。一方有機物粒子の形状と直接対応させながら、その生化学的の特性も明らかにする手法として、炭水化物や蛋白質といった特定の有機物に特異的に結合する色素でこれらの有機物粒子を染色し顕微鏡で観察する方法が以前から存在する。このような方法を丹念に海水中の有機物粒子に試みることで最近になって新しい粒子が見つかってきた。たとえば糖を主成分とするシート状の有機物であるTEP(透明細胞外高分子粒子)や蛋白質に富んだ粒子がそれにあたる。しかしこれらの大きさはいずれも従来の懸濁有機物(約1ミクロン以上)であり、その全体としての生化学的組成についてはこれまでにもある程度わかっていた。つまり生物体を構成する高分子化合物である炭水化物、蛋白、核酸、脂質等で懸濁物有機物の化学組成がほとんど説明できるのである。一方大きさが約1ミクロン以下のこれまで溶存有機物と呼ばれていた方については、その有機物の20%位が生体の構成成分である上記の4成分として説明されるに留まり、残りの多くのはっきりとした化学組成はまだ不明のままである。従って非生物の有機物粒子といっても大きさによってその生化学的組成に大きな違いがあることが考えられるが、このことは次に述べる各サイズの有機物粒子の相互作用を考える上でも重要な手がかりを与えてくれる。
4. 実験室で作られたマリンスノーからなにがわかるか?
マリンスノーを人工的に作ろうとする試みは、これまでにも何人がの研究者によって行われてきた。マリンスノーのもとは海水中の植物プランクトンや動物プランクトンの脱皮殻などが核となり色々な有機物がこれに付着して大きな有機物の塊を作っている。わが国でもマリンスノーの名付け親である北海道大学水産学部にある梶原研究室では、海水に珪藻が多い北の海の沿岸水を使い、大きな筒に入れた海水の下部をヒーターで少し熱して対流を起こすことで色々な有機物粒子の衝突同数を増やし、短時間の内にマリンスノーを作ることに成功している。一方アメリカのグループは沿岸の表層海水を筒の中に入れ、その筒をゆっくり回転させることで衝突頻度を、上げてマリンスノーを作っている(図−3)。
このようにして作られた人工のマリンスノーが海洋の表層で集めれた天然のマリンスノーの性状によく似ていることから、海洋でのおそらくマリンスノーの生成にも実験室と同じような要因が働いているものと考えられる。つまり原料となる微細藻類やその他の微小生物および生

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図−3 人工マリンスノー作成装置の概要(Shanks & Edmondson, 1989)

 

 

 

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